1.2 地域特産材を活用したインテリア用品の開発研究
坂下仁志*、宮崎 徹*、坂本 晃*、大内成司**
の結論から、アイデア展開と検討を重ねた結 果、「椅子の側面形態状に切り抜いたシルエッ
トパネルを、幅方向に複数枚連ねて構成する」 という「構造コンセプト」と、これによって幅
方向の設定が自由になるメリットを最人限清か
して「レイアウトフリーのパブリックファニ
チャー」という「デザインコンセプト」を設定
した。
ここまでが製占長閑発の作業フローの中で、、■ 番重要な部分であった。その後、具体的なシル
エットを決めるデザインワークを行うととも
に、レイアウトフリーに連結するための、ボルト・ナット及びパネル聞に挿入して間隔の調整
や曲率の設定を行うためのスペーサ等の構造を
決定した。具体的なシルエットパネルの加二1二に
ついては、同じ形態を大量に切削することが粟 求されることから、1800mmX900m皿の中に、シ
ルエットを合理的に面付けレイアウトし、NC
ルータによって連続的に切り抜き加二仁を考」二っ
た。
切り抜かれたシルエットパネルの加工は、椅
子として組み立てられた場合の座と背に相当す
る木L]部分と木端部分のみの研磨と塗装で済
み、また組み立てでは、ボルトにシルエ・ノトパ ネルとスぺ−サを交耳に通してナットで締める
だけで、専用⊥具が不要、組立に場所を選ばな い等、当初設定Lた二つの「コンセプト」のメ
リットが確認できた。 1.はじめに
平成2年度当初、県林業振興課から「スギ利
朋開発による木材需要の拡大」を目的に、昭和 62年度から行ってきた一連の事業である Fスギ
ー般材総合対策事業・新規利用製品開発』の一
部として開発されたスギLVL*1を使って県林業試験場では「建具的製品」を、当所には「家
具的製品」を両者協力して開発して欲しいとの
要請があった。斗1所ではこれまでも、長年にわたってスギ材 の加l 二技術、表面処理技術、そしてデザイン開
発に力点をおいて、スギ材の■ 茸付加価佃化及び
地域特産品の開発に取り組んで来たところでも
あり、またさl て所の開発方針とも合致することから、この要論を当所の3カ年計画の最終年度と
なる標記テ【マの中で取り組むこととした。
2.概 要
これま−チに開発されたスギLVLの製造技術
と、材料キ事件についての説明を受けるととも に、原材料として1800爪mX900mmX12mmサイズ
のもの70杖、1800mmX900mmX36mmサイズのも の10枚が提供された。
そこで、標記テーマの本年度の開発対象とし ては、「公共用家具」を想定していたことか ら、これを前提に、提供されたスギLVLの材
料相性、材料サイズ、数量等の与条件の中で、
どのような「家具的製品」の開発が可能かの検
討を行った。その結果、一般的な軸組構造による椅子等の l 凋発では、本素材を活かすことにはならないと
寧デザイン研究室 … 加二l 二技術研究室
3.方 法
フリーのパブリックファニチャー」という「デ
ザインコンセプト」を設定した。4.3 デザインワーク
「構造コンセプト」と「デザインコンセプ
ト」を発想の阻勘こして、アイデアの展開・収 れん・評価を行った。(腕1、図2参照)
3.2 デザインコンセプトの設定 3.3 デザインワーク
3.4 構造設計
3.5 試作
4.結 果 4.1構造コンセプト
スギLVいま、スギ丸太を回転させて砲台で
むくという、ロータリーレースによってできた 単板を、繊維を同▼ 一方向に揃えて積層接着した
ものであるが、本素材は、単板の切削肌の荒さ から接着が不均一であり、パネルとしても繊維 密度の不足から、繊維に平行方向への荷重に対
しての強度は十分ではなかった。
家具的製品は、何よりも使用時における安全 性が要求されることから、バネ/レに主として曲
げ荷重がかからないような利用を考慮する必要
があった。そこで、一般的な枯r ・卓ナでは板材・棒材
を各種の接合ノブ法で加工・組みうンニてを行う軸組
構造をとるところであるが、本開発においては、材料特性、材料サイズ、数量等の与条件を 考慮して、「椅子の側面形態状に切り抜いたシ ルエットパネルを、幅方向に複数枚連ねて構成 する」という「構造コンセプト」を設定した。 4.2 デザインコンセプト
「構造コンセプト」によって、想定する家具
類の幅方向の設定を自由にできるメリットを
「公共用家具」の必要条件の一つとしてデザイ
ン的に活かすことを考えた。そこで、不特定多数の人々が待合室一口ピー
等で気持ち良く時を過ごせるパブリックシーン
を想定する中で、ヒトの流量と動線、フロアの
面積・形状や柱の位置・大きさ等に合わせてフ
レキシプルな連結・配置ができる「レイアウト
堵十二L竺+ニヰ
議転■
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∴・・ 二... ヽ
図1 アイデア展開の概略図
図−2 CGによる完成予想概略図
4.4 構造設計
座については高さ・奥行・傾きに、また背に
ついては角度・高さ・腰椎保持位置に留意する
とともに、座面の感触を左ホするシルエットパ ネル間の隙間量などの検討と、1800mmX900mm
サイズのスギLVLl 枚の中から合理的に木取
りできるサイズ一個数の接点を求めて、背付き ・背無しの2タイプのシルエットパネルの形状
を確定するとともに、連結しながら直線状・曲 線状等の全体形状の確定を、隙間量を調節する
4.5 試 作
具体的な連結形状として、今回捷供されたス
ギLVLの量から、「背付きペンチ」は450扇
型、900扇型、1800扇型、670m
m
直型を各1脚
の計4脚、「背無しベンチ」は900扇型を2脚
1500m
m
直塑を1脚の計3脚、合計7脚を計画し
た。扇型は、すべて直径600m
m
の柱周りに設置
するという想定で、金具の曲げ半径、スペーサ
のサイズ等を以下のとおりに決定し、試作を
行った。(写真1、写真2参照)
図−3 形状図面の例
ことで可能にするためのスペーサのサイズを決
定した。また、連結するためのボルトはイスと
しての形態を保持するとともに、安心できる強
度を保持させるために、両端部に100皿の長さ
にネジを切った所定の長さの直径10m
m
の丸銅
棒をシルエットパネルの3カ所に貫通させ、ボ
ルトの両端をナットで緊締することとした。
(図3、図4、図5参照)
写真一1部品(シルエットパネル)
写真一2 部品(金具類、スペーサ類)
シルエットパネルについては、同じ形状のも
のを大量に切削することが要求されることか
ら、表−1に示す内容で、N
Cルータによって
連続的に加工を行った。切り抜いたシルエット
パネルは、椅子として組み立てられた場合、座
と背に相当する木口部分と木端部分に対して、
切削肌を滑らかにする必要から研磨と塗装を施
した。 図−4 切抜き面付け図面の例
金具類は、義一2に示す内容で、外部に委託
以上の部品が揃った段階で、組み立てを
して加工を行った。
行った。当初の計画・設計と大きな変更もな
スペーサ類は、表−3に示す内容で外部に委 く、写真3−10の結果を待た。
託して加工を行った。
表−1 シルエットパネルの加工内容
背付きペンチのシルエットパネル
ロロ
シルエットパネルの枚数
スギLVLの枚数番
想定形状
12mm厚 36mm厚
合 計
12mm厚 36mm厚合 計
備 考
1800 扇型 56 3 59 19 1 20
900 扁型 29 2 31 10 1
450 扇型 15 2 17 5 6
④
670直型 17 2 19 6 7予
備
9 9 18 2 2 4合
計
126 18 144 42 6 48背無しベンチのシルエットパネル
r コ
目口
シルエットパネルの枚数
スギLVLの枚数番
想定形状
12m厚 36mm厚
合 計
12mm厚 36mm厚合 計
備 考
+ 908 扇型 50 4 54 9 10 2脚分
十
1500直型 78 4 82 13 14予
備
16 16 32 2 2 4△
計
144 24 168 24 4 28稔
ノ△
計
66 10 76表−2 連結九銅棒の加工内容
背付きベンチの九銅棒(直径10mm、長さは全て+50m、両端ネギ切り100mmづつ)
想定形状
外長さ 半 径
本 数
内長さ 半 径
本 数
備 考
①
1800 扇型 2353 730 1 1288 391 2②
90D 扇型 1207 730 1 671 391 2③
450 扇型 633 730 367 391 2④
670直型 636 3合
計
4829 6 5930 6背無しベンチの九銅棒(直径10mm、長さは全て+50皿、両端ネジ切り100mmづつ)
想定形状
外長 半径 数 中長 半径 数 内長 半径 数
備 考
900扇型 1150 694 1 877 520 1 604 346 2脚分②
1500直型 1468 1 1468 1468 1合
計
3768 3 3222 3 2676 3表3 スペーサの加工内容
背付きベンチのスペーサ(外径16。皿、内径12m、肉厚2ⅠⅧの塩化ビニールパイプ)
想定形状
外 長 さ
数 量
内 長 さ
数
量
備 考
+ 1800 扇型 25 58 7 116900 扇型 Z5 30 7 60
450 扇型 25 16 7 32
670直型 20 18
予
備
20と25 40 7 20合
計
162 228背無しペンチのスペーサ(外径16m
m
、内径12m
m
、肉厚2m
m
の塩化ビニールパイプ)
想定形状
外長さ 数 量
中長さ
数 量 内長さ 数 量 備 考
①
900 扇型 25 26 15 26 7 26 2脚分1500直型 20 40 20 40 20 40
予
備
20と25 30 15と20 30 7と20 30合
計
122 122 122総 合 計
個
Z5×176十20×195+15×72+7×300=11.5m、個数で756
写真−5 背付き908 扇型
写真3 連結部写真10 試作品全体像
つのコンセプトはある程度の次元で実現できた
と考える。しかし、一方でスギLVLが、商品
として受け入れられるには、クリアしなければ
ならない技術的な課題も多い。そして、何より
も現在の様々な生活シーンで使用されるもの
は、審美性、耐久性、メンテナンス性など、生
活者の高い鑑識眼にかなう魅力を有する素材で
あり、それを活かしたデザインでなければなら
ない。こうした意味から、より完成度の高い提
案とするためには、さらに研究を続ける必要が
あると考える。
写真−7 背付き670Ⅲm
直型
5.考 察
今回の開発において、組み立て段階で、ボル
トにシルエットパネルとスペーサを交互に通し
てナットで締めるだけの軽作業のため、熟練技
術者が不要、専用工具が不要、場所を選ばない
等、「公共用」に求められる現場施工性の高さ
と色々な形状が設定できるレイアウトフリーの
考え方の実用性が確認できるなど、設定した二
6.ぁわりに
今回の開発プロジェクトは、その進行にあた り、関係者の方々との緊密な連携と各々の技術
分野による役割分担が明確に実行されたこと
で、当初の目的が達成されたものと考える。 技術の高度化、紺分化が進む中で、こうした 異分野の交流による取り組み方は、今後ますま す重要になっていくものと考えられる。
写真8 背無し900 扇型
*1スギLVLは、
スギ材を使ったLar r l i nat ed Veneer Lumber (平行単板積層板)の略称で、・一般にロータ
リー単板やスライス単板を繊維方向を平行に重
ねて積層接着して得られる製品をいう。 写真9 背無し1500直型